出版社:ちくま新書 発行日:2009/2/10 評価:★★★ (★:いまいち、★★:普通、★★★:面白い、★★★★:他者へ強く勧める、★★★★★:バイブル級) 著者:齋藤孝 1960年生まれ。東京大学法学部卒業。同大学院教育学研究科博士課程を経て、現在明治大学文学部教授。専攻は教育学、身体論、コミュニケーション技法。
前提に、以下はあくまで本書を読んだ私の私見であり、私の一方的な解釈に過ぎないことをご理解ください。まだ本書を読んでいない方に対して、何かのきっかけを与えることができればいいと思い、記載しております。
1. 読んだきっかけ・目的
本屋でたまたま見つけたのがきっかけ。当然学問のすすめ自体は存在として認識していたが、具体的な内容までは知らなかった。また、私自身も日本のために何ができるかを考える中で、過去の偉人はどのような思想で過ごし、行動していたのかを知りたく、読んでみることにした。
2. 本書を読んだ率直な感想
面白かった。そして、福沢諭吉のストイックさにとても刺激をもらった。一番印象に残ったフレーズはこちら。
人間たるものは、ただ自身と家族の衣食を得ただけで満足してはならない。人間はその本性として、それ以上の高い使命があるのだから、社会的な活動に入り、社会の一員として世のために努めなければならない。
ただ生活をするだけでは蟻と変わらない、と言ってしまうような毒深さはあるものの、世の中を変え、後継に語り継がれる人物はこれくらいのマインドセットは当たり前なのだろうと感じた。 また、世を変えるのは国民一人一人の力が必要であり、生まれながらにして平等な時代なのだから学問を信仰し独立して国を支えていかなければならない、といった考え方はまさにその通りで、今の時代にそのまま当てはまることだなと思った。コロナ禍で色々な課題がある現代にて、福沢諭吉がいたらどのようなことを唱え、国民へ影響を与えていたのだろうか。このような存在は現代にいるのだろうか。関心する一方で、頼ってしまいたくなる気持ちも出たくらいだ。ということを考えてる暇があるなら学問を信仰し、独立して国のためにできることを考えろ、ということなのだろう。
3. 読むべき年代
無論、いつ読んでもためになる本だとは思うが、私は大学生の方々に読んでいただくことを推奨する。ある程度自由も手に入れ、色々な行動選択肢を取れる中で、やはり学問はすすめて欲しい。学問をすすめることで、自分の意識がはっきりし、経済が回り、幸せな生活を手に入れられるのだと思う。社会人になる前に、学問をすすめることで独立し、世の中を良くしていくこと・それが自分自身の充実だということを心に刻み、充実した社会人人生をスタートして欲しいと思うからだ。
4. 学んだこと
以下に私が読みながらメモした学んだ点を記載する。(が、ここは皆さん実際に本書を読んでいただき、自身の学びとして吸収してもらえたらと思う。)
人は皆生まれにして平等。しかし貧富や有能無能などの差は、学問の差に依存する。そのため、豊かに充実した生活を暮らしたいのであれば、学問を信仰したほうが良い。
とはいえ、政府が偉い、頭がいい人がえらい、というわけでもない。そこもまた平等である。ただ、そこに対して不満を抱くのであれば、それは学問を信仰すべし、ということ。
衣食住だけで満足して他人に害を与えない、これでは蟻同然。他人にプラスにはならない。このストイックな精神を福沢諭吉は持っていた。
人は、今日この世の中にいて、我々の生きた証を後世の子孫に長く伝えること、そのために常に高い要求を実現することにある。
信じることには偽りが多く、疑うことには心理が多い。
議論は簡単だが実行は難しい。実行までできる人になる必要がある。
心が高いところにあっても実行できていなければそれはただの害。自分に原因を求めようとせず、他の批判ばかりをする人になってしまう。
自分勝手な理想を基準にし、それを不満ばかり言っているのでは、孤独になってしまう。
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